ここでは天然繊維の
説明をします

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天然繊維

天然繊維とは読んで字の如く自然界の生物(動物・植物)から取れたもの、採取したもので繊維を作っているものを指します。
最近は繊維のみに限らずいろんなもので、自然界から取れたものを重宝する傾向があるようです。
しかし、自然界のものは限りがありますので、採取制限等がかかったものもあり、減少しているものもあるようです。

種類と特徴

名称 特徴 図柄
ウール ウールは一般的に、羊(メリノ種)の毛のことをいいます。
羊の種類は約3,000種もあり、メリノ種がそのうち約40%を占めています。
最大羊毛生産国であるオーストラリアでは生産量の約75%がメリノ種であり、日本の輸入羊毛の約80%もメリノ種となっています。
  • 高い保温性と伸縮性
  • 羊毛は縮れていて、毛がからみあっているため、保温効果が高く、伸縮性に富んでいる
  • 適度な吸湿性
  • 水をはじく性質でありながら、湿気をよく吸収する。
    汗をかいても湿った感じが少ない。
    ウール特有のヌメリ感がある。
  • 型くずれしにくい
  • 弾力性があり、回復力が強いため、型くずれしにくい。
  • 染色性がよい
  • 燃えにくい
  • ピリング(毛玉)になりやすい
  • フェルト化する
  • 水を含んだ状態で、もみ合わせると縮んで硬くなる。
ウールの断面
羊
カシミヤ カシミヤ山羊からとれる高級な毛。
柔らかく軽い。
上品な光沢感、独特のヌメリ感があり、「繊維の宝石」といわれています。
1頭のカシミヤ山羊からとれる柔毛は150〜200g。
セーター1枚には約4頭分、コート1枚には約30頭分の原毛が必要です。
  • しなやかさが魅力。
  • 繊維が細く(直径14.5〜16.5ミクロン)、柔らかく、軽い。
  • 吸湿性にすぐれている。
  • 上品な光沢感と独特の風合いがある。
  • 着ごこちが素晴らしい。
  • ピリング(毛玉)になりやすい。
※ カシミヤは、高級になればなるほど繊維が細く、デリケートになるため、毛玉ができたり、すれ(摩擦)に弱くなる。

カシミヤヤギ
アルパカとビューナ アルパカは、ラクダ類ラマ属のアルパカからとれる獣毛。
ビキューナは、アルパカの仲間の獣毛。
あらゆる毛製品のなかで感触、風合い、光沢などにおいて最高級品とされる「幻の超高級繊維」です。
セーターやオーバーコートなどに利用されています。

アルパカ(Alpaca)
  • なめらかな手ざわりが特徴。
  • 強く、絹のような光沢がある。
  • 繊度(毛)が揃っている。
  • 長い毛足。
  • 毛の色で価値が異なる。(淡色で光沢のあるものが高品質)
南米ペルーの中部〜南部、およびボリビアに分布。海抜3650mの高地に生息するアルパカからとれる獣毛を原料としている。

ビキューナ(Vicuna)
  • 獣毛繊維中、もっとも細く、柔らかい。
  • 黄金、栗色で、光沢に富んでいる。
  • 弾力性がある。
  • 稀少価値があり、たいへん高価。
南米アンデス山脈の高地に生息する捕獲を禁止されているラクダ科のビキューナからとれる獣毛を原料としている。
アルパカ
ビキューナ
キャメル キャメルは、ふたこぶラクダからとれる獣毛。
春になると脱毛し、この毛を熊手のようなものでかき集めます。
毛はカシミヤよりも太く、コシがありオーバーコートや毛布などの高級素材として使われています。
  • 保湿性、弾力性に富む。
  • 軽く、手ざわりがよい高級品。
  • ラクダ色の独特の光沢。
  • 染色性が悪く、ほとんどがナチュラルカラー。
  • 生産量は、羊毛のわずか0.14%程度。きわめて稀少な繊維。
キャメル
アンゴラ アンゴラうさぎからとれる高級な獣毛。
繊維が長く、その柔らかくなめらかな風合いは、豪華な雰囲気をかもしだします。
セーターやカーディガン等のニット製品に利用されています。
  • 毛が白く、絹のように細く、柔らかい。
  • 光沢があるため、パステルカラーの染色が美しい。
  • 毛の中心が空洞になっているため、保温性にすぐれ、軽い。
  • 羊毛と違い、繊維組織がウロコ状になっていないため、表面がなめらかで、毛が滑って抜けやすい。
  • 風合いを生かすため、撚りが甘く、摩擦すると毛羽がからんでピリングになりやすい。
  • 静電気が起きやすい。
アンゴラうさぎ
モヘア アンゴラ山羊からとれる獣毛。
毛は長く、なめらかで、きわめて美しい光沢を有しています。
夏用のスーツの素材として最高です。
  • 絹のような上品な光沢感がある。
  • 手ざわりが良く、柔らかい。
  • 弾力性に富む。
  • 断熱性、保湿性にすぐれている。
  • 太い繊維で光沢のあるループを作り、起毛したタムタムヤーン※1のものが多い。
  • 毛が長く、抜けやすい。
  • 静電気が起きやすい。
モヘア
麻は、天然繊維のなかでもっとも涼しい繊維といわれ、温度や湿度の高い季節に適した植物繊維素材です。
涼しい・・・熱伝導が早く、すぐに発散。水分の吸湿・発散も最も早く、涼感があります。
衛生的・・・通気性に富み、細菌の発生を防ぎます。(バクテリアの発生率が低い。)
衣類用の麻は亜麻(あま・リネン)、苧間(ちょま・ラミー)の靭皮繊維のみだけです。
  • 高強度・・・水に濡れると強度が60%アップする。(羊毛の4倍、綿の2倍の強度となる。)
  • 弾力性に乏しいため、シワになりやすい。
  • 摩擦により毛羽立つため、白化しやすい。
  • とくにリネンは、水洗いにより腰がなくなり、柔らかくなる。
  • 虫に強く、カビに弱い。
  • 弾性回復率に乏しいため、リブ組織は伸びやすい。
  • 縮みやめくれ、反り返りが起こることがある。特有のハリと風合いを出すために、撚りを強くかけているために起きる。
亜麻
綿 綿は、木綿植物の種子に付く綿毛を、収穫してつくられる繊維で主成分はセルロースです。
綿は、五千年以上も前から人類に親しまれている植物繊維のひとつ。
現在も、日本における衣料用繊維の消費量の約40%を占めています。 繊維の長さにより「短繊維」「中繊維」「長繊維」「超長繊維」に分けられます。
長繊維、超長繊維(エジプト綿/海島綿など)は細くしなやかで高級綿として、高級シャツ等に使われています。
綿の形状は、平らで細いリボン状で、よじれがあり、断面は中空になっています。
  • 肌ざわりが良い・・・繊維の先端が丸みを帯びており、柔らかく、肌ざわりが良い。
  • 涼しい・・・水分を吸収・発散するため、さらっとした肌ざわりが得られる。
  • しっかり染まり、発色性に富む。
  • 白化しやすい・・・着用や洗濯など摩擦によって毛羽立つため、白化しやすい。
  • 縮みに注意・・・中空繊維のため、水分を多量に含むと、その分体積が増え膨張する。 形を整えて自然乾燥しなければ、縮んでしまうことがある。
綿
綿の側面綿の断面
絹(シルク)は、かいこの幼虫が口から連続して吐出してつくった繭から採取されます。
絹は紀元前四千年ごろから中国で作られており、絹を求めてシルクロードの旅が行われていました。
当時、絹はたいへん貴重な品であり、同等かそれ以上の重さの金と交換されていました。
日本でも、弥生時代前期には作られていました。麻と並び、世界最古の繊維といえます。
絹(シルク)は、天然繊維では唯一の長繊維(フェラメント)で1個の繭は、600〜1100メートルの長さがあります。
繊維は三角断面の2本の「フィブロイン」と、ニカワ質の「セリシン」で構成され、精錬によりセリシンを除去することで、 絹(シルク)本来の光沢と風合いが得られます。
  • 美しい光沢。
  • 絹は三角断面形状(上図参照)になっており、この三角断面がプリズム効果となって光沢を放つ。
  • しなやかでドレープ性が高い。
  • 軽く、あたたかい。フィブリルとフィブリルの間に空間があり、それが保温効果をもたらし、繊維重量を軽くしている。
  • タンパク質で組成されている。染まりやすい。反面、虫害を受けやすく、酸やアルカリに弱い、熱に弱いなどの欠点もある。
  • 吸湿・発散性にすぐれている。
  • 擦れやすく、毛羽立ちやすい。白っぽく見える。
  • 水ジミになりやすい
  • 目寄れしやすい。
シルクの断面

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